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抗菌薬の適正使用

抗菌薬の適正使用

ペニシリンに始まる抗生物質を含めた抗菌薬は、感染症治療において多大なる貢献を果たしてきました。一方、これらの不必要あるいは不適切な使用により、MRSAやVREなどの耐性菌による感染症の増加が近年大きな問題になっています。1種類の抗菌薬にだけ耐性があってもあまり問題ありませんが、厄介なのは多くの抗菌薬に耐性を持つ多剤耐性菌が発生していることです。この多剤耐性菌により、2005年には全世界で年間1000万人が亡くなるという推計もなされています。これは新型コロナウイルスによる死者数を大きく上回る数字です。

多剤耐性菌の増加が意味することは、人類が感染症治療の武器として用いてきた抗菌薬が使えなくなることに他なりません。そこで各国は薬剤耐性(AMR)への対策として、抗菌薬の適正使用に関するアクションプランを策定しました。この中で、患者が医師から抗菌薬を処方された場合、症状が改善されたからといって自己判断で服用を中止せず、薬を飲み切ることが大切と書かれています。これは、抗菌薬の中途半端な服用によって耐性菌のみが生き残り、それが体内で増加して病気になった際に抗菌薬が効かず、治療法がなくなることを防ぐためです。また、風邪などのウイルス性疾患自体は抗菌薬で治ることはありませんので、自己判断での抗菌薬の不適切な使用は止めるべきです。

多剤耐性菌を増やさないためには、日々の手洗いなどの予防策、感染症にかかりにくい健康な体づくり、そして、治療に不必要な抗菌薬の処方を求めないという一人一人の小さな協力の積み重ねが大切なのです。

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